「今でしょ」に始まり「じぇ、じぇ、じぇ」で決まりかけていた流行語大賞の路線に最大のライバルが現れた。それは、東京オリンピック誘致プレゼンでの「お・も・て・な・し」▼この日から都内のホテルではおもてなし戦略が一斉にスタートした。それはどれも「和」の趣をホテル全体に醸し出す改装を施すというものだった▼外国人客を当て込んでのことで、日本らしさを強調するのは悪いことではない。しかし、どれも画一的で、お金をかければいいというふうにしか感じられない。それが「おもてなし」?。広義では間違っていないもののそれだけでは片手落ちどころか、本意が伝わらない可能性が高い▼「おもてなし」が完成するには、そこに「心」がなければならない。つまり、ものではなく人だということ。相手に「心」が伝わるかどうかということだ。相手の立場になって考え、誠意を尽くす。それこそ「おもてなし」だ。たったそれだけのことだが難しい。
片隅抄