「こんな条件の中でも大会新記録を出してくれてうれしい」。大会を見守っていた校長先生は厳しい条件の中でも全力で記録に挑んだ子供たちに拍手を送っていた。だが、この日の水中スタートから生まれた2つの記録が、33回の歴史の最後の新記録になってしまった▼市小学校長会が主催してきた小学校水泳競技大会が来年度から廃止されることになった。県教委の飛び込み禁止の通達、学校で飛び込み指導が行われていないことなどがその理由。開催趣旨が学習成果の発表の場であった以上、子供たちの安全が確保されなければ継続は難しいのだろう▼前述の校長先生の姿を思い返せば現場では苦渋の決断だっただろう。だが、歴史ある大会だっただけに廃止は残念でならない。水泳関係者も「危険じゃないように教えることが指導であり、教育ではないか」とこぼしていた▼生きる力を育む教育とは何だろう。守られてばかりの子供たちの姿に、いつも考えさせられる。