店で買い物中の女性が持ったカゴに、母親を追ってコーナーを走って曲がってきた3歳ぐらいの女の子が激突した。幸いにケガはなかったようで、女性がかがみこんで女の子に声をかけているうち、泣くこともなく再び母親の元へと走り去った▼ショッピングセンターなどで子供がはしゃぎ回る姿を時折目にする。子供は〝走るもの〟だといわれていて、大人がそのことを理解して子供が周囲にいる場合に注意を払うことは当然だろうが、それだけで事故は防げない▼親が子の安全を考えるのであれば、しつけという部分での手立ても必要だ。買い物中にも手をつないでとは言わないが、子供に目が届き、声をかけられる範囲内に捉えておく必要はあったろう▼もう1つ、周囲の大人が「走ったら危ないよ」とひと声かけることも大切だ。他人のことには無関心なのか、注意することがはばかられるような世の中なのか、声をかける大人が少なくなっているのも寂しいことだ。
片隅抄