少子化対策が、いよいよ待ったなしの状況だという。05年に1・26と過去最低となった合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)は3年連続で上昇したものの、09年にそれも止まってしまった▼国の研究機関の見積もりでは、55年に1・55まで回復する可能性があるとするが、出生率が回復しても、女性の数が減少していく中では生まれる子供の数が増えることはない。現に出産期の中心となる女性の人口は今後5年間で約145万人も減るそうだ▼少子化は現役労働者人口の縮小、社会保障制度崩壊といった難問ももたらす。出生率回復のため、人口の多い団塊ジュニアが30歳代のうちに集中的な対策を講じたいものだが、残された時間は僅かだ▼子育て支援とともに雇用や経済の安定を図り、少子化に歯止めをかけるのは喫緊の課題だが、人口減少を前提に、如何に自由で公平な制度を構築していくのか。官民を挙げて取り組まなくてはならない時がきている。