約3カ月かけ、『草野心平日記』(思潮社)全7巻を読了した。手元において空いてる時間に読みたかったが、1冊が8000円と高価なため図書館で借りざるを得なかった▼老境を迎えながらも、酒量の多かった詩人だが自作の詩が無断で使用されたり、天山文庫に逗留中、無神経な振る舞いをする客には怒りを隠さなかった。里見庫男さんを追悼した『うえいぶ』第42号に次の一文がある▼「最後になって大きな問題が起こった。草野さん(比佐男)が書き記した序文に草野心平さんが激怒したのだ(中略)その時の里見さんの苦悩の顔を今でも覚えている」。寄稿したのは、郷土史家佐藤孝徳さんだ▼農民詩人『猪狩満直全集』の刊行にまつわる裏話だが、心平日記にこの顛末は書かれてない。後日、佐藤さんからこの話を聞くことができたのだが先日夜、自宅で急逝された。本紙に縁のあった里見さん、氏家武夫さん、そして佐藤さん。大きな先輩方を失った。