野球には「犠牲バント」「犠牲フライ」というプレーがある。あるいは、盗塁をする味方の選手を助けるためわざと空振りする場面▼犠打、犠飛は自分がアウトになることの代わりに進塁や生還に結びつく。盗塁を助ける空振りであれば、みすみす1ストライクを相手投手に与えることになる。野球はそういう犠牲的精神が大きな意味を持つのだ▼昨日、開会式が行われた全国高校野球選手権福島大会。今日からは、いわきグリーンスタジアムでも試合が始まった。一番の花形はエース投手や4番打者であろうが、大会を成功させるために同じ野球部員が応援席で踊りながら声援を送ったり、ボールボーイやグラウンド整備をする▼球場内に入れればまだましで、部員の中には炎暑の中、駐車場の案内や来場者の受付に当たる生徒たちもいる。陰でこういう献身的な犠牲があることを多くの野球ファンにしってほしい。できれば「ごくろうさま!」のねぎらいの言葉をかけて。
片隅抄