コンビニに限らず「年中無休」「24時間営業」が各所で常識化し、それに慣れると、午後8時に閉まるスーパーを「閉店が早い=不便」と認識してしまう。が、昔どうだったか考えると、特に不便とは思っていなかった気がする▼店が閉まっていても「また間に合う時間に来ればいい」とか「何か別の物で代替しよう」と頭を働かせ対応していた。人は一度便利さを知ると、それが当たり前と感じ、さらなる欲求を募らせてしまうようだ。電気店などで、より高性能の製品を求めるのも同じ感覚に違いない▼こんなとき、吾唯足知(われただたるをしる)という言葉を思い出す。京都・龍安寺のつくばいに刻まれていることでも知られるが「欲張らず、今を満足することを知れば、不平不満がなくなり、心豊かになれる」という意味だ▼つまり、要は自分次第なのだ。あれもこれもと望んだところで全部手に入るわけではなく、また1つ手にすれば次々に欲は出てくるのだから。
片隅抄