小学生のころ、習字が苦手だった。授業の際、クラス全員が書き上げた作品を黒板の前で掲げたのだが出来が悪いため、発表することはなかった。なんのうち教師に見咎められた▼後年、奈良の古寺、仏像に興味を抱くうち同地を愛した歌人・書家の会津八一を知り、その短歌と書に魅せられもしたが、自ら書の手習いをするまでには至っていない。先月29日、勿来の関公園の吹風殿を会場に第1回市小・中学生書き初め大会が開かれた▼いわきは書道層が厚いといわれるが、市内の児童生徒約80人が参加し、盛況のうち終了した。普段から書道教室などに通っているのだろう。学年ごとに黙々と課題に取り組み、筆を走らせる姿は落ち着いたもの▼書道の利点は文字のバランス、行間を配慮する思考力や正しい姿勢、そして集中力が養われるという。大賞、準大賞が選定されたが、いずれも遜色なかった。何より一心不乱に書き上げた作品に参加者の素直な心が見て取れた。