江戸期の大相撲が1場所10日間で年2場所しか開催していなかったころ、力士たちは皮肉まじりに「1年を20日で暮らすいい男」と呼ばれていた▼しかし昭和33年から1場所15日間×年6場所=年90日間の取組となった。その合間に長い地方巡業があり、ケガや病気を治す間もなく本場所を迎えることになる。力士も随分と忙しくなったものだ▼大相撲が八百長問題で揺れている。新聞や週刊誌、テレビが連日この問題を取り上げているが、相変わらず相撲協会の対応は下手。ここは開き直ってすべてを明らかにし、世間に是非を仰ぐしかない▼今まで協会内で常識だった慣習が通じなくなったのだ。根本の問題は、大相撲がプロレスと同じ興行か、スポーツとしての競技なのか。それをはっきりした上で論じなければならない。無理に太った160㌔前後の生身の肉体が、本気で激突して90日間耐えられるのか、という部分も含めて。ここは力士の〝正直な声〟を聞きたい。
片隅抄