先日、NHK福島放送局の開局70周年番組〝ふくしまアーカイブス〟を見た。県内各地の祭り、行事などを紹介した再放送だが、この日の目当ては昭和41年9月26日放送の「新日本紀行いわき」▼約半世紀前のモノクロ映像だったが、海岸を空撮したオープニングから当地を紹介する淡々としたナレーションに始まり、勿来の関、早生ナシの収穫に励む農家、阿武隈山中の川内村で地元住民と交流する草野心平が映し出された▼5市合併以前であり、磐城地方という範囲で同村をとらえたのだろう。この年完成した天山文庫で酒宴を楽しみ、平伏沼に生息するモリアオガエルに目を細める壮年期の詩人は生き生きとしていた▼映像は田人の炭焼き、常磐炭砿、豊間のウニ漁、小名浜港を含む臨海工業地帯と栄枯盛衰の記録が続いたが、商業地・平の様子がなかったのがやや残念。今年は市制施行45年に当たるが、民放局に当時の映像があれば、あらためて見たいものだ。
片隅抄