「5W1H」。これは言うまでもなく、文章をまとめる際に、「いつ」「どこで」「だれが」「何を」「なぜ」「どのように」したのかを書き漏らさないようにするのに役立つ。大事な部分から書き始める新聞記事を書く上で、非常に重要な原則▼記者になりたてのころは、この言葉を徹底的にたたき込まれた。取材をする際にも、5W1Hを考えながら相手に質問していたことを思い出す。十数年の記者生活の中でも、いまだに原稿を書く際にこの言葉が頭の中を巡っている▼東日本大震災や東京電力福島第一原子力発電所の事故に関する最近の衆参予算委員会や政府の会見などを見ていると、どうも要領を得ていない気がする。だから変な誤解を生み、混乱するのではないか▼そう言えば昔、「言語明瞭、意味不明」などと揶揄された政治家がいた。たとえ話し言葉でも、5W1Hを頭に入れて筋道だてて話せば、相手に伝わるのではないか。テレビの中継を見てそう思った。
片隅抄