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片隅抄

2011.05.07

 セブンイレブンいわき豊間店といえば、豊間海岸に近く、夏になると店頭に浮輪やビーチボールが並び、サーファー用品も販売するなど、海のコンビニならではの雰囲気をもっていた▼しかし今回の震災ではその近さが災いし、大津波が店舗を大破。乗用車が壁を突き破り、今もどこかの家の玄関ドアが店の天井に乗っている▼平成7年に開店させた店だった。パート店員が全員無事だったのがせめてもの救い。商品は1・5㌔先の田んぼまで流され、金庫ごと売上金を盗まれた。3人の子供を抱え、店長は鉄骨をさらした店の前で呆然とするしかなかった▼だが震災から2カ月。店長は立ち上がった。その店舗の前に本部から借りた移動販売車を置いて、再起の第一歩となる店頭販売を来週9日から始める。店の一角に、大津波でも倒れなかった壊れかけた公衆電話がある。そこに営巣した小鳥が5つの卵を産んだ。それは、店長夫妻と3人の子どもたちの吉兆に違いない。

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