最近出合った詩の一節から。「このまま よい日が続くとおもっていただけ こんな苦しみが あると思っていなかっただけ」▼市内でも講演活動のある浜文子さんの詩集『なにしに ここへ』中の「知る」だ。教えてくれたのは会社を訪ねてきた楢葉町の女性。聞けば彼女は震災後、原発事故のために4カ所の避難所を転々とし、今いわきに居る。その境遇が詩に重なった▼彼女と浜さんは講演会を機に交流があり、心配した浜さんから、彼女のもとに詩集が届いた。彼女は言う「浜さんの詩が心に響き、本当に救われた。この詩を、同じ思いをしている多くの被災者に伝えたい」。それが弊社を訪れた真意でもあった▼そして、詩はこう結ばれている「再び ここから歩かなければ あんなよい日も あったのだから こんな苦しみも知ったのだから」。ここに、言い知れない悲しさの中にも、一筋の希望を見いださんとする彼女の思いがあるような気がし、切なくなった。