勿来地区の夏の一大イベント「いわきおどり勿来大会」「なこそ鮫川花火大会」が中止に決まった。同時期の「四時川流域ダムまつり」も開かれない。例年なら3大会をPRするポスターが街なかを飾るのだが、今年だけは淋しくなる▼東日本大震災がもたらした深い傷跡。原発事故による放射性物質の不安、避難生活を送る被災住民、操業もままならない企業、開催した場合の安全面の確保など、クリアすべき問題が山積する中、実行委員会は苦渋の決断を下した▼夕暮れ時に響き渡るドンワッセの掛け声と踊りの輪、その余韻とともに夜空を彩る大輪の花、蒼いダム湖面に白波を立てる遊覧ボートなど、うちわ片手に取材した過去の夏まつりが思い出される▼復興と鎮魂が交じり合った状況での中止決定を尊重したい。まずは一刻も早く、憂うべき事態が収束に向かうことを願う。楽しみは少しの間おあずけになるが、来年まで歓喜のエネルギーを蓄えておこう。