先週、連休を利用して長野県松本市から地域紙の仲間19人が来市した。震災後の復旧の視察を兼ねた研修旅行ということだった▼初日は市内観光の拠点スパリゾートハワイアンズを見学し、その日は湯本温泉で1泊。翌日は、地震と津波で大きな被害を受けた海岸沿いを中心に見てもらった。海岸はビニール袋の土のうを積み上げた簡易の防波堤が築かれ、復旧の進まぬ住宅地では、むき出しの土台だけが残る殺風景な景色が広がっていた。視察に訪れた人たちは、あらためて自然災害の恐ろしさを実感していたようだ▼では、抄子はというと日々の生活に追われ。時としてあの震災すら忘れてしまうときがある。市民の中には震災前の生活を取り戻すことが出来ずに、避難所生活を強いられている人がたくさんいるというのに。人によっては忘れることで救われ、それで前に進むことができるというが…。ただ忘れてならないものもあるはずだ▼来月11日、震災1年を迎える。
片隅抄