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片隅抄

2012.04.30

総合図書館の24年度前期常設展「小学校教科書の歩み」に足を運んだ。明治から戦前までの各科目の教科書の変遷をたどり、あらためて国づくりにおける学校教育の重要性を考えさせられた▼文明開化の色濃い明治初年から、東洋的道徳観の復古へ、そして明治後期以降の国定教科書には「歴史」や「修身」を中心に、国家主義・軍国主義的教育理念が強く打ち出されていた。印象深かったのは「地理」。日清・日露戦争後の大正時代の教科書には、樺太の南半分や台湾も日本の国土とあった▼ならば「国語」はどうか、と思い調べてみて、教科書の役割とその怖さを痛感した。たどったのは、昭和一ケタ生まれから聞いていた、最初に「サイタ サイタ サクラガ サイタ」が出てくる教科書▼これは、軍国色濃くなる昭和8~15年に尋常小学校で使われていたものだ。そして、桜の花咲く喜びを表現した文の後にあるのは「ススメ ススメ ヘイタイ ススメ」だと知った。

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