小川在住の古老に教わった。先日没した新藤兼人監督が、吉野せいの『洟をたらした神』を映像化、小川郷駅でせいの息子の出征場面を撮る際に地元の人々がエキストラ出演したという。その16㍉フィルム作品が総合図書館にある、とも▼確かに所蔵されていた。が、上映には機材が必要なため、通常貸し出しはせず。でも団体が上映会を開く場合等に教材として借りることはできるそうだ。同館では併せて「製作当時、せい(の遺族)側から作品にクレームがつき、広く世に出ないで終わった」と話してくれた▼調べてみて知った。もともとテレビドラマとして新藤氏脚本・神山征二郎監督で製作したが、原作にない〝原発〟の描写をめぐり遺族らが抗議し放映中止、地域限定の自主上映映画とし公開されたらしい▼しかし、これ以上は分からずじまい、作品も見ていない。製作は34年前、地元の人や風景はもとより〝原発〟がどうかかわっていたのかも気になる日々を送っている。
片隅抄