昭和48年――。泉中学校3年生だった抄子はクジ引きで生徒会の安全委員会委員長になった。最重要課題は自転車通学生のヘルメット着用義務の徹底。取り締まりは厳しく、違反した生徒には、今なら問題になりそうな罰(!)が下された▼それに比べれば、今日4月1日から施行された自転車用ヘルメットの着用義務は罰則がないからまだ甘い。朝から自転車に乗っている人を注視していたが、被っている人は皆無だった▼しかし自転車の性能がよくなって、乗用車を運転している側から見ると、車道はもとより歩道を走る自転車は怖い。建物の陰から徐行なしで疾走する自転車と何度衝突しそうになったかわからない。先日も夜間、自転車で歩道を走っていた人が段差でバランスを崩して転倒した▼バイクと同様に、事故を起こしたらまず頭部が危険にさらされる。その保護のためのヘルメットは自転車でも不可欠なのだが、その意識が浸透するのはまだ先かもしれない。
片隅抄