工業用語などで使われる「スクラップアンドビルド」。消費税増税などに真っ向から反対し、49人の同志とともに民主党を離脱した小沢一郎氏にこの言葉が例えられる▼自民党最大派閥を率いた田中角栄元総理の秘蔵子として実力を蓄え、その政治手法は豪腕と称された。しかし党内に敵も多く、離党後は打倒自民を旗印に野党を巻き込み、連立政権を成し遂げた。以来20年、この間の政治活動はご存じの通り▼金銭、私生活面でのスキャンダルは田中氏と似るが所属した政党に対する思い入れ、愛着は比較にならない。ここがつくっては壊し、出て行く弟子と師の違いである。新党名も「国民の生活が第一」というやや長め▼党首ともなれば、物心両面で所属議員を支えなくてはならない。新党の場合、最大の問題は選挙といわれ、回を重ねるごとに先細ることが多い。大将を信じて付いてきた者の行く末には責任がある。政治家に限らず、自分の生活が第一では困る。