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片隅抄

2012.07.30

何年経ようが充実感を伴い蘇るいわゆる一生の思い出が、誰にでもある。自身の場合は二十余年前の船旅がそうだ。訳せば「平和の船」と銘打つ航海で、東シナ海を中国へと渡った▼水平線が円を描く大海原に在り、自然の壮大さと、比す人間の小ささを思い知った。また船上や寄港地では参加者がクルーズテーマに沿った数々の企画を展開、かかわる中で得た学びは以降の人生の大きな糧となった▼先ごろテレビ等でも報道されたが、被災地の高校生を対象にした富士登山があった。当地からの参加者が友人の子息という縁から、感想を側聞した。「本当につらかったが、頑張れたことがうれしい」そして「陰に多くの支援があったことに感動した」と。貴重な体験だったと窺い知る▼今、夏休み。こんな経験をぜひ多くの若者にしてほしいと願う。そして、得た学びのみならず、出発を温かく見送ってくれた家族が一番の支援者たることを、決して忘れないでいてほしいとも。

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