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片隅抄

2012.08.27

作り手側の視点・目線で見ることの多い新聞だが、素の読者として読む欄が1つだけある。小説だ。読み方としては、毎日読むのではなく、1章分ぐらいをためておいてまとめて読む。この方が内容をつかみやすいからだが、切り抜き作業だけは毎日必ずやる▼同じように、新聞小説を日々の楽しみにしている人は結構いるだろう。欠かさず読むのが、生活のリズムになっているという話を聞いたこともある▼本紙でも25日、新連載が始まった。江戸川乱歩賞作家・新野剛志さんの『明日の色』だ。スカイツリーの建設が進む東京・下町が舞台で、事業に失敗し離婚した中年男が主人公だ。彼が簡易宿泊所の施設長をしながら、どう人生を立て直していくのか、楽しみだ▼そして作品名の『明日の色』。〝絵〟が物語の核になっていることからきているようだが、夕刻に、来るべき翌日を思いながら読むのに、何ともふさわしいタイトルだ。多くの人にぜひ楽しんでもらいたい。

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