「ゴールボール」という競技を、今回初めて知ったという人も少なくないだろう。ロンドンパラリンピックで日本女子チームが金メダルを獲得した▼第2次大戦後に、視覚に障害を負った傷痍軍人のリハビリテーションとして考案され、日本には昭和57年に紹介された。が、国内で本格的に競技の普及が始まったのは平成4年のことという▼目隠しした選手が、1・25㌔の鈴入りボールを転がすように投球し合い、相手ゴールに入れ点を得る。視覚以外の神経を研ぎ澄まし、音と振動と空気から判断して進める競技の奥深さは、想像が及ばない。見えない世界からどんな情報をつかみ、目以外で何を見ているのだろうか、など考えてしまう▼さて、いわき市議選が終わり37人の議員が決まった。しかし、彼らの本当の始まりはこれからだ。復興という最重要課題に、市民の思いをどう受け止め、どう取り組んでいくのか。37人にこそ、見えない部分を見る力が求められている。
片隅抄