20日付の本紙「くらし随筆」で遠藤清一さんが、野球との出合いのことを書いておられた。なるほどと思ったのは、近所の野球経験者からほめられた言葉が今も忘れられない、というところだ▼遠藤さんは73歳の今でも監督兼捕手の現役選手。古希野球ではなく、60代の還暦野球で闘将ぶりを発揮している。若いころはノンプロ野球で活躍し、その野球と寄り添いながら、衰えを知らない肉体と精神力で有意義な人生を送ってきた。何と幸せな老後であろうかと思う▼その原点が、大人の一言であったということを見逃してはならない。感受性の強い子どもは、大人以上に敏感に言葉を受け止める。だから上手にほめ、上手にしかることが大切なのだ▼取材でさまざまなスポーツの試合や練習を見る機会があるが、監督の指導ぶりは千差万別だ。指揮官の話す言葉が選手に勇気を与えるものか、それとも単に萎縮させるだけのものかは、子どもたちの表情を見ればよくわかる。