きょうは79回目の「終戦の日」。太平洋戦争当時について語れる人は少なくなっているが、いわきに本土決戦に備えた特攻部隊があったことは忘れてはならない。幻の海軍特攻隊・第十七突撃隊第一三八震洋隊(通称「嵐部隊」)だ▼終戦直前に全国に設けられた突撃隊の一つで、1945年6月10日に小名浜に進出。本土決戦に加え、敵艦が接近した際には、爆薬を抱えた特殊な舟艇で体当たり攻撃を仕掛ける任務を帯びたが、一度も戦わず、同年9月に解散した▼当時を知る人に話を聞いた際、昨日まで凛としていた兵隊たちが、終戦を境に郷里に帰るため小名浜駅に向かう際には、文字通りぞろぞろと歩いていたという。「お国のために捧げた命を、どうしたらよいか分からない様子だった」と回顧していた▼8月ジャーナリズムと揶揄されるかもしれないが、きょうばかりはこの街も戦争の一端を担ったと気に留めてほしい。再び砲弾の雨に見舞われないために。
片隅抄