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片隅抄

2013.03.11

多くの人々が、愛する家族、そして帰るべき家や故郷を失った震災から丸2年。被災者の1人としてこの間、何をよりどころに生きてきたのかを振り返ってみた▼わが家は津波で全壊、コンクリートの基礎も壊れた。が、一度は解体しようと思った家を修復し、住んでいる。居場所がある―今それが大きな支えになっている▼唱歌「故郷」は、少なからぬ日本人にとって、心の琴線に触れる1曲たるに相違ない。「夢は今も巡りて忘れ難き故郷」と、思慕にあふれた歌詞は、誰もが共鳴できるもの。と、信じていた先日、震災関連のテレビ番組の中で、故郷に戻れぬ被災者男性が「『故郷』の歌はつらい、聞きたくない」と話す姿に、胸が詰まった▼日本人の心の歌とまで言われる曲を、受け入れられなくなってしまった人がいる。あらためて震災のもたらした悲劇の大きさを思うとともに、帰れる所のあるわが身の幸せをかみ締めながら、犠牲者の鎮魂を祈る今日―3月11日。

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