今でこそ健康……というより命を守るために水分補給は欠かせないが、昔、特にスポーツにあっては練習中に水を飲むことが禁じられていた▼「水を飲むと疲れるから」「水を飲むのは根性がないせい」と指導者や先輩がのたまう。選手たちはボールを探しにいくふりをして隠しておいた水筒の水を飲んだ。中には近くの川の水さえ飲んだなど笑えないエピソードはいくつもある▼昔の人はよほど丈夫だったのか、それとも危険な状態に陥った例がいくつもあったのか。今では試合を中断して給水タイムをとるし、マラソンでは給水の失敗が成績を大きく左右する。屋内の会議でもペットボトルが用意されるなど、健康管理としての水分補給への意識は相当変わった▼本格的な夏を迎える。水分補給だけではない。紫外線や暑さ(熱さ?)対策も欠かせない。ここ数年、体温を超える気温も珍しくなくなり、毎年のように熱中症で命を落とす人が後を断たない。気をつけよう。
片隅抄