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片隅抄

2013.09.02

村の鎮守の神様の今日はめでたいお祭り日―明治期にできた唱歌の一節だが、訪ねるとまさにこの歌そのままの風景が広がっていた。一昨日行われた平・下平窪諏訪神社例大祭の宵祭りでのことだ▼森を背にした拝殿の周りは、次々と楽しそうにやってくる地域の老若男女でいっぱい。そして森の小道を上った先の本殿では、厳かな神事に続き、地区の伝統を守らんと練習してきた獅子舞と神楽が奉納され夕闇の中、風情たっぷりの光景が繰り広げられた▼その本殿の参拝客の中に、制服姿の数人の高校生がいた。そのうち何人かは地元の子で、小学校の時以来だが祭りを懐かしく感じ、高校でできた地区外の友達を誘ってやってきたという▼地元から外へと、どんどん世界が広がっていく成長過程で、時折帰りたくなる―そんな故郷のよさを垣間見た気がした。そして何年か後の彼らに、今年見た伝統の舞を次世代につなぐ役割を担ってほしいと願ったのは、自分だけだろうか。

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