昭和39年の東京五輪女子バレーで金メダルを獲得した〝東洋の魔女〟の主将を務めた中村(旧姓河西)昌枝さんが亡くなった▼「さぁ金メダルポイントであります」という実況とともに、その姿はモノクロの録画でしか見る機会はなかったが、どんな場面でも落ち着いて、チームメートを見守る母親のような存在感が印象的だった。当時31歳。今でこそ30歳を過ぎての女性現役選手は珍しくないが、半世紀も昔のことだ。結婚もせずバレーにすべてをかける生活はどんなだっただろう▼中村さんがそうであったように〝魔女〟たちの多くは、普通の主婦になったあともママさんやちびっ子バレーの指導に当たった。チームメートの一人、宮本恵美子さんの名前を冠したバレーボール大会が今もいわき市で開かれている▼それにしても、選手12人中8人が○○子という名前。それにユニホームのブルマ姿。根性の名の下の猛練習。魔女たちには昭和30年代の文化のにおいがする。