「車がないと不便だ」。宴席の場で隣に座る高齢者がつぶやいた。話を聞くと年を取って危ないからと、家族に言われ運転免許を返上したのだ▼どこに行くにもバスやタクシーを使うというが、年金生活者にとってはタクシー代もばかにならないと。そこでバスを中心に利用することにしたが、高齢者が住む地域は過疎地らしく定期バスの運行が次々と廃止され、今では朝夕の1日2便。公共交通機関といえども、利用者の少ない線は廃止の対象に▼電車、バスが縦横に走る都会では、マイカーがなくとも不自由しないが、地方のそれも過疎地ともなればマイカーがないとどうにも不便だ。清水市長は「医療・雇用・住宅」の充実を公約に初当選した。採算を考えれば難しい問題もあろうが、公共交通機関の整備も忘れないでほしい▼老いはだれもが避けては通れない。あすはわが身。交通はもとより、福祉、年金でも、高齢者が安心して暮らせる国になることを願いたい。