先日あるネット上の投稿を見て驚いた。日本列島のほぼ東半分が色濃く塗られた地図が投稿され、タイトルは「これが日本の放射能汚染の実情」、各地の数値も記載されていて、福島に至っては、現在発表されている数値の10倍から20倍にもなっている。よく見ると、原発事故直後の資料だと分かったが、それを示す説明もない。もちろんその出所も不明だ▼ネット社会になり情報の伝達速度に関しては格段の進化を遂げてきたが、一方その弊害も指摘されてきた。SNSの普及で誰でも気軽に情報を共有できるようになり、個人の発信する情報が即ニュース的な扱いになってしまう▼われわれ新聞も読者からの情報に頼ることもある。ただし記事化するのは取材検証してからだ。社説、コラムに至ってもそれは怠らない。そこが、マスコミとネットの決定的な違いだ▼言論の自由と言われてしまえばおしまいだが、そこには責任があってこそ。「責任」こそマスコミの本当の使命だ。
片隅抄