かねてより気になっている2つの言葉がある。「不言実行」と「有言実行」だ▼四字熟語としてもともとあったのは、あれこれ言わず黙ってやるべきことをする「不言実行」だが、この語から、口にしたことは必ずやり遂げる「有言実行」が派生したとされる。既に昭和20年代には小説の一節にも登場し、同50年代には大阪の公立中学校の校訓にもなっていたというから、今どきの造語というわけでもないといえる▼とはいえ「有言実行」が広く耳慣れした言葉となったのは、平成になってからではないだろうか。そして今の国際化社会においては、「不言実行」より「有言実行」の方が広い理解を得やすい気がしている▼というのも、「不言実行」からうかがえるのは、いわゆる従来型の日本人らしい実直さや勤勉さ。一方「有言実行」には、前向きで強い意思と積極性が表れており、これが、21世紀型日本人が地球の一員として、世界に向けて取るべき姿勢と重なるのである。