ソチ冬季五輪の女子フィギュアスケート。金メダルの期待を背負って出場した浅田真央は6位に終わった▼4年に1度の五輪。その競技当日に心身をベストのコンディションにもっていくことの難しさをあらためて知らされた。なぜ実力を出せなかったのか、いつか彼女の口から真実が語られる日がくるだろう▼同じフィギュアで、転倒…というより〝尻もち〟をついたことで今も伝説のヒロインとして語られる選手がいる。ジャネット・リン。42年前の札幌冬季五輪でリンは規定演技で尻もちをついて4位だったものの、自由演技ではトップの成績で銅メダルを獲得。彼女は〝札幌の恋人〟と呼ばれた▼失敗しても、さわやかな笑顔で立ち上がって演技を続けたリンの潔さは今も印象に残っている。規定を終えた後の夜、部屋で泣いていたクリスチャンの彼女は、神の声を聞いた気がして平常心になれたという。〝失敗〟は悪いことばかりではないことを、彼女は教えてくれた。