「花盛り」「花冷え」「花霞」など桜を例えた言葉は数多い。それだけ「桜」は、日本人の心の中に深く入り込んでいる証拠だし、同時に、表意文字としての日本語の美しさと、奥の深さが示されている▼子どものころ、祖父に連れられ、青森・弘前城の桜を見に行ったことがある。真っ青な空に荘厳な弘前城、周りをお濠が囲み、それを無数の桜が埋め尽くす。その美しさは、今でも目に焼き付いている。美しい花は数多くあるが、これほどまでに受け入れられている花は「桜」以外にはないだろう▼春は日本人にとって特別な季節でもある。旅立ちを桜が後押しをする。この場合は、脇役だが、千本単位の桜は、それだけで主役に早変わり。まさに千両役者だ▼いわきでは昨日、平年より3日早く、満開を迎えた。歓迎会を兼ねた花見会が夜の街を賑わすころだ。週末の天気も良いようだ。「花より団子」もいいが、ちょっと足を延ばしてライトアップされた夜桜見物もいいものだ。