またしても悲劇は繰り返された――。ストーカー殺人事件だ▼警察をはじめとする司法当局や国会などで何度も深刻な社会問題として対策を講じてきただろうに、結局は同じような犯行で大切な命が奪われた。たぶん警察は「適切な対応をとった」と言うだろう。しかし、こうも同じ過ちが繰り返されては、納得できるわけがない▼か弱い女性が、男から陰湿に付け狙われる。直接被害を受けないまでも、四六時中、恐怖から逃れられない日常生活を送る身になれば、超法規的な取り締まりもあって当然ではないか。決して他人事ではないと思うべきだ。これは言いすぎだが、もし被害者が警察などの関係者だったら……と勘ぐってしまう▼娘は小学校時代、不審者に狙われかけたことがある。自宅に犯行を予告する電話がかかってきて、親として何日も心休まる気がしなかった。今、このときもストーカーの被害に悩んでいる人がいるはず。悲劇は繰り返されてはならない。
片隅抄