♪復活の主仰ぎゆく高き望みに恵あれ――ここ数年、取材で訪れた球場で繰り返し耳にした聖光学院の校歌である▼テレビやラジオを通じて今年の甲子園でも3度聴いた。ようやく口ずさめるようになったときその快進撃は終わりを告げた。そういえば、母校でもないのに磐城の校歌を歌える。昭和46年夏の甲子園で準優勝したとき、3度耳にしたのが頭の中に刷り込まれているのだろう▼常磐炭砿が閉山に追い込まれた時代で、マスコミは「苦境のふるさとに希望の光をともした準優勝」ともてはやしたが、小さな大投手・田村は「閉山とは関係ありません」ときっぱり否定した。どこか今よりも大人びた18歳だった。未来に向かって力強く生きる頼もしい若者たちだ。ずるずると震災と野球を関連づけるのはもういいだろう▼甲子園はまだ夏の闘いが続いているが、予選で敗れたチームは1・2年生による秋の陣を迎えた。聖光を脅かすニューヒーローの登場を待ちたい。
片隅抄