行政区ごとに設けられている交通安全対策協議会(交対協)。年間を通じて各季の交通安全運動出動式、死亡事故ゼロの日などで啓発運動を展開する。その主体となる市交対協が28日、初めての「交通死亡事故多発緊急事態宣言」を発令した▼同日現在、市内の犠牲者は15人と昨年比10人増、震災後最多の24年11人をすでに上回る。皮肉なことに発令日当日は、第48回市交通安全市民大会が開かれた。関係機関、団体から大勢出席し、表彰式などが行われたという▼もっとも、その分周辺の交通量は普段よりも増えたであろう。万一、事故が発生しては目も当てられない。仮に公的立場の人ならば会場に近い場合、徒歩はいかがか。きっとスムーズに移動できると思う▼ホンダ創業者の本田宗一郎さんは生前、「自動車を作っている者が大げさな葬式を出して交通渋滞を起こす愚は避けたい」と言い残したという。意義ある大会でも本末転倒になってはいけない。