先週末、市総合防災訓練が実施された。初の避難所運営訓練も行われ、警察・消防関係者や市職員、市民計70人が参加した▼「ペットやトイレ、障害者など、避難所でにわかに浮上する課題を想定し、対応策を考え合った意義深い訓練だった」とは、ある参加者。さらに、災害時には体力のある若者に頼ることが多いことから「若い世代がこのスキルを身につける必要を感じた」とも▼震災・原発事故を経験した私たちは「絶対安全」など、どこにもないことを知っている。その中で危険のリスクを少しでも軽減するための訓練がいかに大切か。繰り返しの訓練で少しずつ安全性を高めていくことしかできないのだと思っている▼「安全ピン」でけがをした経験を随筆につづった向田邦子の文章から―安全という文字がついていると、それだけで安心してしまって、つい気がゆるんでしまう。その分だけアブないという気がする―安全はやはり自らの努力で高めるものに相違ない。
片隅抄