他県の方と会った時、選出国会議員の名前をそれとなく聞き、話題のきっかけにすることがある。新潟県人とはないが一時期、越後といえば田中角栄さんのイメージが強すぎたが今はもう昔日の感がする▼北海道釧路市を訪れた際、酪農家の男性と先の話になった。開口一番、「ムネオだ、ムネオ」。次は同業他社と三重県松阪市に赴いた時のこと。同行の1人が地元の案内者に「この辺りは、田村さんか岡田さんですか」と尋ねた▼もっとも、このうち1人はすでに政界を引退していた。連続当選14回、労働、運輸など各大臣、衆院議長を務めた田村元さんが先日亡くなった。小派閥ながら権力闘争のキーパーソン的存在でもあった▼大下英二著『小説政界三国志』を読むと竹下政権誕生前夜の田村さんの行動が興味深く、自民党の混乱時、議員総会で野次を飛ばした他議員を叱責する姿も迫力があった。小さくまとまった政治家を見るとあの豪快さが懐かしい。