昨日、県立高校の卒業式が一斉に実施された。一緒に学んだ級友たちと別れ、卒業を機にこの春、進学や就職でいわきを離れる人も多いだろう▼そんな若人よ、忘れないでほしい。未来へ旅立てるのは、これまで一生懸命はぐくんでくれた両親やきょうだい、つまり家族がいたからこそだということを。門出に際し、今こそきちんと感謝の気持ちを表そう▼そしてもう1つ、故郷を後にするにあたり、あらためて1人ひとりが「いわき」について考えてほしい。君たちの思考や行動、表現に、いわきがどんな影響を与えたのかを。ここで生まれ育ったからこその体験が、きっと君たちの気質につながっているはずだ。故郷とはそういうものだ▼だから思う。10代半ばの多感な時期に、この地であの震災を経験した君たちこそが、再起し復興の道を歩むいわきの希望なのだと。勉学が成り、スキルを積んだ暁には、できるだけ多くが帰郷し、いわきの力となることを願っている。
片隅抄