常磐道が仙台まで延伸したかと思ったら、今度は特急が上野で乗り換えなくても東京・品川まで行ける▼また北陸新幹線の開通により、その都心から長野経由で富山・金沢へ楽に行けるようになった。高速交通網の整備で、距離的に遠かった場所が急に隣町になった感じだ。仕事や行楽に大きな変化を与えることだろう▼今は廃止されたが、日付が変わろうとする深夜に東京駅を出発し、岐阜の大垣へ向けて走る各駅停車の夜行列車があった。「青春18きっぷ」を使って、いかに安く遠くまで旅行できるかを楽しんだのは30年ほど前だ。新幹線が走るようになると、東海道本線や東北本線のような在来線の乗り換えが不便になったように思うのは気のせいだろうか▼スピードアップによる便利さを受け入れながら、「そんなに急いでどこへ行く」と心のどこかでひねくれる自分がいる。交通手段をうまく使い分けながら、「のんびり、ゆったり」のよさも忘れたくはないと思う。