親から初めて野球のグラブを買ってもらったのは小学3年生のときだった。朝、目を覚ましたら枕元に置いてあったのを今も忘れていない(もっとも、息子が家族でただ1人左利きだったのを知らず右利き用だったが)▼東日本大震災後、津波で野球用具を流された子どもたちのために各地から善意のグラブなどが寄せられた。中古品ではあったがよく手入れされていて、物余り時代に慣れていた子どもたちが自分に合うものをうれしそうに探していたのを思い出す▼ところで――。市内の体育施設には忘れ物を一時保管するケースがある。中をのぞくと一流メーカーのシューズ(スパイク)を中心にボールや運動着などが置かれていて、早く主が取りに来るのを待っているかのようだった▼スポーツ選手にとって、シューズって大切なものなんじゃないの? それが親に買ってもらったのならもってのほかだ! たとえ自分のお金で買ったとしても粗末にしていい訳はない。