いわき市歌の詞を草野心平が補作する前の乗田まさみさんの詞がどんな内容だったか調べてみようと思った矢先、ブログで市議が「今のご時世に歌詞がそぐわない」と書いていたのを見た▼市制施行から約50年経過して本当に『若いまち』なのか。炭鉱が閉山してはや40年。存在しない産業をいまだに歌詞として歌うことに違和感――という内容だった▼違和感を覚えるのはむしろブログの方だ。『若いまち』は単純に年数のことではなく、若さ特有の血の滾りのようなたくましい生命力・スピリットの象徴であろうし、『炭鉱(やま)』だって単に常磐炭砿をさすのではなく、長くいわきを支えてきた産業のシンボルを次代に引き継ぐためにも欠かせない。そしてそれは大震災後の心の復興のシンボルになったフラガールにつながるのである▼いわき人としての心意気と歴史の象徴が込められた市歌を震災直後にあらためて聴いたとき勇気と涙が出た。大切にしたいと思う。