欧州、中東情勢がこのところきな臭い。続発する国際テロ、ロシアとトルコ両国間の撃墜問題など対岸の火事とも思えない。陸続きでない海洋国日本といえども、隣国の覇権主義が迫りつつある▼政治上決着した諸問題も相手国からは未だ断罪の対象になっている。過去の大戦を思えば、致し方ない気もするがあまり気分の良いものではない。だが人道上優れた先人も存在したことは確かだ。あすから全国公開される2本の映画がある▼6000人の命のビザで知られる在リトアニア領事館員をモデルにした「杉原千畝 スギハラチウネ」。明治時代、紀州沖で遭難したトルコ軍艦の乗船員を救助した逸話「海難1890」。時代こそ異なるが、他国民のため献身的に尽くした事実を映像化した▼これらの話は日本人よりも早く両国民が知っていたというが、美談はひっそりと息づき後年明らかになったと考えたい。人は辛いときに受けた温かい心を忘れないものだ。