３月から４月にかけては卒業と入学・入社の季節である▼ある幼稚園の卒園式で、園児が母親に涙を浮かべながら「お母さんが毎日作ってくれたお弁当、おいしかった」とお礼を言う場面があって、見ていて胸が熱くなった。入学式や入社式では、真新しい制服やスーツ姿の若者がまぶしく感じた▼親に感謝の気持ちを伝える素直な心をいつまでも持ち続けてほしいものだが、世知辛い世の中で揉まれていくうちに、そんな気持ちをなくしてしまう人間も出てくる。親や子を殺したり虐待したり、飲酒運転で暴走して死亡事故を起こしたり、誘拐して他人の人生を破滅させたり…近ごろ暗澹としたニュースが続くが、彼らにも素直な子ども時代はあったのだろうか▼新しい気持ちで学校や社会人生活をスタートする人たちは今が横一線。誰にも夢を実現するチャンスがある。手垢のついていない今の気持ちを忘れないで頑張ってほしい。定年がチラつく、おじさんはそう願う。
