避難所での配給や給水所での長い列―思い出したくない記憶を呼び起こすような映像が、テレビから流れてくる。しかし、被災経験者としては、見ずにはいられないニュースでもある▼熊本そして大分を襲っている連日の地震、被災地域の人々の心身の痛手はいかばかりだろうか。そして、今なお大きな余震が1日に何度も起きている▼わが体験を振り返る。春浅い3月の避難生活は、寒さとの戦いでもあった。が、4月中旬の九州は、日中は夏日になることもあるほど暑く、そして昼夜の寒暖差も激しいと聞く。体調や衛生面の管理は、われわれの時以上に大変かもしれない。そして余震も、ここまで大きな揺れが頻繁に繰り返されたとしたら、精神的なダメージはどれほどだろう▼この点に関しては、人類の英知が及ぶ域ではなく、ただ案じるのみ。経験から言えば、気持ちを強く耐えるしかない。しかしこんな時こそ、人間の持つ力を何よりも信じるべきだとも思っている。