近年の政権交代を振り返るとき、いわゆる保守合同「55年体制」を打破した細川護煕氏を首相とする非自民連立政権が印象にある▼新聞記者から自民党参院議員に転じ、当時の一大派閥田中派に属した。旧熊本藩細川家の流れをくみ、祖父は近衛文麿元首相という毛並みの良さ。その細川氏が日本新党を立ち上げ総選挙に打って出た際、JRいわき駅前で遊説を行った▼〝時の人〟の登場に多くの聴衆が集まったことを記憶する。退陣後、長いブランクを経て都知事選に立候補するなど変な欲を見せたりしたが、かつては熊本県知事を2期務めている▼この名士がふるさとの災禍をどう感じているのだろう。東日本大震災では岩手県を地盤にする剛腕政治家が、その政治手法をフルに発揮したとも思えない。地震で住む家を追われた人たちが狭い車中で寝起きし、果ては命を落とす。国民最低限の生活を保障するのが政治ではなかろうか。今夏の参院選、注目点は多い。