先月発生した度重なる強震での人命損失、家屋倒壊など甚大な被害に見舞われた熊本県。東日本大震災を経験した身としては人ごとではなく、心穏やかでない▼ましてや、大規模な土砂崩れに遭遇した若者1人の捜索も打ち切られるなど、何ともやるせない気がする。この災禍で思い出すのは、大震災の1カ月後に起きた直下型地震「福島県浜通り地震」。震度6弱の強い縦揺れは、またも大きな被害をおよぼした▼田人町石住地区の集落、県道が土砂崩れに遭い、4人が亡くなった。うち1人は車で走行中、巻き込まれた。当時、現場に立ったが途方もない量の土砂に絶望感さえ漂ったが、かたわらでは救出を待つ家族の姿が痛々しかった▼避けようもない災害に適切な対処法も見当たらないが、頭の隅には常に置くべきだろう。昨年4月に起きたネパール大震災の例もある。同じ被災国として、支援の輪は広がったが今はどうか。こちらも風化させてはならない。