もう6年も前のことだが、いわきで初めて、巨人戦の公式戦があった。相手は広島。7月の非常に蒸し暑い日だったのを覚えている▼取材のため球場入りしたのは、午後2時すぎ。まだ選手の入り時間には程遠い時刻だったが、熱心に内野の守備練習をしている選手がいた。レギュラーを狙う若手選手だと思っていたのだが、近くで見て驚いた。あの小笠原選手だった▼大粒の汗を流しながら、右へ左へとノックを受けていたのだが、それよりも驚いた事があった。終了後、自ら荒れたグラウンドを整備し始めたのだ。当たり前の事なのだが、プロの選手がやるとは思ってもいなかった▼今は、野球に限らず、子供たちのスポーツには親の協力が欠かせない。それ自体、悪いことではない。ただ、「協力」の意味を勘違いしてしまう事が多いのも事実。やってあげる事と、やらせる事を明確にする必要があるだろう。華麗なプレーよりもむしろ、あの小笠原選手の姿を目指してほしい。
片隅抄