もう30年も前のこと。大学で、テレビ関連の卒論を書いていた頃、先生を交え、同級生たちとテレビの将来について語り合うことがあった▼当時は、つくば博が開催された頃で、今のハイビジョンの原型である、「高品位テレビ」が話題の中心だった。各メーカーがその技術の誇示に躍起になっていた、ハード面重視の時代だった。肝心の中身に関しては、バブル期を反映し、視聴率競争を勝ち抜くための番組が増え始め、薄っぺらな番組に警鐘を鳴らすような議論をしていたのを覚えている▼最近、大手テレビ局が、国内の私鉄の脱線事故の写真をSNSから借用し、しかもその写真は全くの別物だったという事が話題になった。投稿者の「嘘」に騙されたものだが、それを安易に使用したマスコミには、いい訳ができない▼SNSには、根拠のない思い込みや私見が、横行している。そういう時代だからこそ、マスコミに限らず、取り扱いには十分に注意する必要がある。