ずいぶん前の話だが在京時、地下鉄に乗り広告ポスターに目をやると、高名な小説家が茶の湯の始祖千利休について一文を載せていた。これは活字でなく直筆で白文字だったことを覚えている▼ここまではよいのだが、なんとその中で利休が「利久」になっていた。首をかしげつつも、よくある間違いだなとも思った。ほどなくして、そのポスターの個所に作家自身が書いたと思われる「休」の字が張られていた▼こちらも文字を扱う仕事だけに他人のミスは笑えない。一時ならぬ一字が万事となりうる。さて、茶聖の流れをくむ坐忘斎千宗室家元が裏千家淡交会青年部「ナショナルコンファレンス2016inいわき」出席のため来市した▼19日までの間、東日本大震災の犠牲者追悼などを目的に茶湯の儀、対談、座談会に臨む。家元は今年3月にも訪れ、平下平窪地内の畑に茶品種「おくみどり」の苗木を植樹している。今回は一般市民対象でないのが残念。